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連続小説

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甘い痺れ

こんなに背中や首に触れられるのは初めてだが、身体の他の部分とは違う気持ちよさがある。
始めはどうしてそんなところをと困惑したが、もしかしたら相手がご主人様ならどこを触られても気持ちいいのかもしれない。
息がかかるとこそばゆいのだが、それが身体の芯を痺れさせるようで私はだんだん溶けてしまいそうだった。
ご主人様はだんだんと私に絡むのをエスカレートさせていく。
始めはただくっついたり撫でたりするだけだったのだが、今は思いのまま、ざらつきがあるのでおそらく頬をすり寄せたりキスしたりと私を刺激していた。


(もしかしてご主人様って、背中フェチ・・・?)


こんなにも後ろばかりを責められるとそんな気がしてくる。
いや、違う。
身体を洗ったときと同じく脇腹の横を通りご主人様の大きな手が私の乳房を持ち上げた。
手のひらで支え指で弾ませると私の胸は湯の中でゆっくりと跳ね、それに合わせて水面に波紋が走る。
浮力のあるお湯の中だからこその動きだった。
ご主人様はその動きを挟みながら私の胸を触り、次第に範囲を拡げてお腹や足まで手を進めた。
相変わらず背に顔を寄せているが、今は手の動きの方に夢中のようだ。
それで私は確信する。


(背中というか、身体の感触が好きなのね)


思えばベッドでは後ろ側にしたようなことを顔や胸にしていた。
今も身体中を愛撫しているし、この体勢をとっているのは触りやすいからなのだと思う。
撫でたり揉んだりするのはきっと感触を楽しんでいるのだろうと思うし、すり寄ったりキスをするのは愛情表現なのだろう。
私はなんだか安心した。
いや、ご主人様が私の背中が好きと言うのなら受け入れるのだけれど、いつも後ろに居るのは少し寂しいのだ。
できれば正面に、視界に映る場所に居てほしい。


(あれ?
なんだろう、これ)


ふと、私はお尻に違和感を覚えた。
一部分だけ妙に熱く、押し上げられるように圧迫されている。
それは始めはそこにあるのが確認できる程度だったが徐々に大きさを増して、私の肌に密着していた。
私はそれが何なのか、すぐにわかった。
ご主人様の逸物だ。
それの上に乗ってしまっているのだと気付いた途端、恥ずかしさで頭まで熱が昇った。
それと同時にスイッチが入ったように身体がご主人様を求めて騒めきだす。
さっきまでは全く意識していなかったけれど、胸を触るご主人様の手の動きがなんだかいやらしいものに思えてきた。
不思議とそう思い始めるとただただ心地よさだけだったのが甘い痺れを伴うようになる。
しかし愛撫とは違うその動きは私が欲しい快楽には及ばない。
こんなにも自身を昂らせているのに、ご主人様はただ遊んでいるだけなのだ。

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