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違うタイプ

目が合うと私たちはどちらからともなく声をあげて笑った。
これはおふざけなのだ。
初めの頃はわからなくて怒らせてしまったのかと狼狽えることが多かったが今ではすっかり慣れて、ややが会話中に口を尖らせて不貞腐れたようにツンとするのはただ遊んでいるだけなのだということがわかるようになった。
目が合うと笑い出す。それがこの遊びの終わりの合図なのだ。
ひとしきり笑い終えて、私は話を元に戻す。


「でも、ややちゃんだってちょうちょが部屋の中に飛んで来たらどこから来たのかな?くらい思うんじゃない?」

「ないなぁ、たぶん。
綺麗だなーとか可愛いなーとかは思うかもしれんけど」

「そういうものかぁ」

「そうゆうものやよ。
一人だったら全然考えたりせんのよ。
その方があたしらしいやん?」


ややの中でややという存在はどういうことになってしまっているのだろう。
私が問いかければややはいつも真剣に考えてくれるし、かなり的確な答えをくれる。
確かに私ほどあれこれ考えたり悩んだりはしないのかもしれないが、だからといって考えないのがややらしいとは私には言えなかった。
だから、私は答えを濁した。
はっきりと違うとは言えなかったのだ。
もしかしたらまだ私の知らない部分が彼女にはあるのかもしれないし。


「そうかな・・・。
それはよくわからないけど、でも、ややちゃんが言おうとしたことはなんとなくわかったかな。
私たちって、全然違うタイプなんだよね」

「うんうん!そう、それ!」


私の言葉にややは激しめに同意した。
言いたいことが伝わってテンションが上がったらしい。
彼女はこういうところは実に素直でわかりやすいのだ。


「不思議だよね、同じラブドールなのに性格が全然違うなんて」

「当たり前やん、あたしもゆうみちゃんもラブドールだけど、顔も体も全然違うやろ?」

「まぁ、そうなんだけど」


私はついややの慎ましやかな胸を見る。


「こらっ!胸のことは気にしたらあかんよ!」


それに気付いたややは頬を膨らませた。
彼女的には胸の大きさが気に食わないらしい。
私はややの均整の取れたスタイルは羨ましくもあるのだが。


「み、見てないよっ」


私はとっさに嘘をついたが、ややは誤魔化されないぞと言わんばかりにじとーっとこちらを睨みつけた。
これ以上この話題はいけない気がする。


「それは置いといて、私とややちゃんは違うからこそ一緒に居て楽しいんじゃないかな!」


些か無理やり感はあるが、私は会話の流れを再び元に戻す。
そのまま胸の大きさの話が続いたりもしくは誤魔化すなと怒られるかと思ったが、そんなことはなかった。
ややはけろっとした様子で、


「そうやね!あたしもそう思ったんよ!」


と言った。
この様子からすると、さっきのもおふざけだったのだろう。

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