story

一人真面目

実際のところはそういうのも悪くはないと思う。
でも、流されるだけではいけないとも思うのだ。


「上はこれでよし。
うんうん、悪くないな。
さて、いつまでも下がパンツてのも格好が付かないしスカートも履こうな」


ご主人様はテーブルの上に広げられたスカートを手に取り、表面からは見えない様に付けられているウエストのホックを外す。
そして履きやすいように開いたそれを私の足に通すとその場に立たせ、上に引っ張り上げた。
スカートはブラウスに対してしっかりとした生地なのだが、履いてみると軽く、ふわりと膨らんで見える様にひだが多く作られている。
表地が透けない様にナイロン製の裏地が付いており、着ていれば温度になじむのだろうが、滑りの良いそれはひんやりとしていて太ももがなんだか落ち着かなかった。
ご主人様はブラウスの裾を見栄えが良くなるように調整しながら丁寧にスカートの中に仕舞いこみ、ウエストのホックを留めた。
箱から取り出した時に真っ先に目についた大きなリボンは緩いベルト状になっており、それが斜めに掛かる。
どうやらこれは飾りのようだ。
それからご主人様は黒い靴下を私に履かせた。


「思っていたよりスカートが長かったなぁ。
これじゃ二―ソの意味がない」


しっかりと靴下を太ももまで伸ばし、靴下を伸ばしやすいように捲っていたスカートを下ろしたご主人様が言う。
靴下の終わりが太ももなのに対し、スカートは膝の高さまである。


「ご主人様、スカートとニーソックスの間の肌が見えるの好きやって前に言ってたもんなぁ」

「そうなんだ。
これじゃ肌は見えないね」

「そやねぇ。
あたしはそれもいいと思うけど。
タイツみたいで変ではないよ?」


私はできる限り目線を下げるが胸で隠れてしまい、スカートがどうなっているかはわからない。


「ううん、見えない・・・」

「あはは!
ゆうみちゃん、胸大きいもんね。
あたしだったら見えるやろなーって、こらー!」


私の様子を見て、ややが自嘲する。
私としてはそんなことを思いもしなかったのだが、そう言われると想像してしまい思わず笑ってしまった。
それを聞いて、ややが失礼しちゃうと頬を膨らませる。
自分から言いだしたのだから、笑われても仕方ないのに。


「もっと短いスカートもあったんだけど、あんまり短いといやらしい感じになるだろ?
ああいうの、嫌なんだよな。
ちょっともったいないけど、まぁこれもなくはないしいいか」


私たちがふざけ合っているのを知らないご主人様は、一人真面目な顔でそう言った。
ご主人様にも私たちの会話が聞こえていたら、きっと笑っていただろう。
そう思うと、一緒に居るのになんだか別の世界に居るようで少し寂しくなる。


「いつかご主人様も一緒にお話しできるようになったらいいよね」

「うん?
どうしたん、急に」

「ううん、なんでもない」

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