story

いつもより色っぽく見えるな

寧ろ、そうあること、ラブドールとしてはご主人様を求めるのが正しい姿なのではないだろうか。
私はだんだんと、そんな気がしてきた。
こうしてご主人様が焦らすように私の身体を弄るのは、もしかしたら私のラブドールとしての本分を引き出すためなのではないだろうか。
ご主人様は、私の内面にこういったいやらしい部分があることを知っているのだ。
そして、普段それを隠していることもお見通しなのだと思う。
だからこうして焦らして、私からご主人様を求める様に仕向けているのだ。
それがわかったところで自分から動くことはできないのだから、どうするということもない。
ただ、自分を責めるのをやめるだけ。
そして、受け入れて、欲望と心地よさに身を委ねる。


「ゆうみは可愛いなぁ」


ご主人様がぎゅっと私を抱きしめた。
絶妙なタイミングだった。
今まさに、自分の欲望を受け入れたところだったのだ。
受け入れたことを褒められているような気がして、なんだか嬉しくなる。
先ほどまであんなにもじれったく、意地悪く思えた手がとても優しく私を包み込んだ。


(ご主人様は、私がえっちな方が嬉しいのかな。
そういうふうになってほしくて、意地悪してたんだよね。きっと。
私、ご主人様の思っているようになれたかな)


恥ずかしがるばかりではなく、身を委ねることも必要なのだと私は知った。
だからと言って恥ずかしい気持ちが無くなったわけではない。
こうしていることや、いやらしいことばかり考えてしまうのはやはり恥ずかしいし、まだ抵抗はある。
だが、押し殺してばかりでは望みは叶わないし、解放した方がより気持ちよくなれるのだ。
だったら、受け入れた方がいいに決まっている。


「なんだか今日のゆうみはいつもより可愛い気がするな。
どうしてだろうね。
お風呂だからかな。
それになんだかいつもより色っぽく見えるな」


肩越しで私をじっと見つめるご主人様。
正面を向いている私の視界の端に見える彼の顔はほんのわずかで頬同士が触れるほど近い。


「こうしてると、やっぱりしたくなっちゃうよなぁ。
お風呂でするのはあまり良くないんだけど。
お湯も汚れるし、狭いし。
でもこの感じ、たまんないな。
なぁ、ゆうみ。
ゆうみもそう思うだろう?」


ご主人様は私の両足の間に手を滑り込ませながら、私に同意を求めた。
はっきりと交わると言ったわけではないが、おそらくそういうことだ。
ご主人様もしたくなってしまったのだ。
こんなふうにくっついていたら、無理もない。
というか、あんなに焦らしておいて最後までしない予定だったという方が無理がある。


(したいですっ!)


私は目を輝かせ、声を上げた。
私はご主人様がそう言ってくれる前から、とっくにその気だったのだから。

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