story

気持ちいいかい?

身体を洗われるというのは初めてだが、とても気持ちが良かった。
ただ触れるのとは違う。
泡で包まれた肌はいつもよりもご主人様に触れられることを気持ちよく感じさせるようだった。
ご主人様の手の動きはとても丁寧で、私の身体を隅々まで優しく撫でていく。
腹から背へ行き、背筋や肩甲骨をなぞる。
まるでご主人様の両手が別の生き物になってしまったようだと思った。
器用な指の動きが私の肌をほぐすように動くのだ。


「気持ちいいかい?
なんてね」


ご主人様の身体が泡の付いたままの私の背中にぴたりとくっついた。
耳元で囁かれながら、抱きしめる様に包み込むようにご主人様の腕が私の胸を挟む。
絞り出されるような形で強調された胸はずしりとご主人様の腕に重さを掛けた。


「うわ、すっご」


ご主人様が息を飲む音が聞こえた。
腕が滑るようにずれ、手で胸が包み込まれる。
滑りが良くなった胸はまるで逃げる様にご主人様の手から形を変えながら零れ落ちた。


「あー、いいなぁこれ」


にやにやしながら何度も手のひらで胸を絞り出しては落とす。
その度反動で胸が弾むのが楽しいようだ。
胸がご主人様の手を離れる瞬間、乳頭が擦れてその度身体が跳ねるようだった。
ご主人様からすればただ胸にじゃれているだけなのかもしれない。
だが私はそうされる度、いやらしい快楽に晒されるのだ。
夜伽の時と同じ、あの感覚だ。
思い出すと恥ずかしさで体が熱くなる。
心成しか、ご主人様の股間も熱く大きくなってきているような気がした。
私はそれを意識しないよう、鏡に集中する。
ご主人様の顔が見えた。
私の肩の上から顔を出し夢中で私の胸で遊ぶご主人様の様子が映っている。
とても楽しそうな、まるでいたずらっ子のような顔だ。


(もうっ!
人の気も知らないで)


なんだかその顔を見ていると私がいやらしい気持ちになっていることがまるで悪いこと、というか間違っているような気がして余計に恥ずかしくなってしまう。
ご主人様にはそんな気なんてないのだ。
そう、ただ遊んでいるだけ。
これはえっちなことなんかじゃない。
自分にそう言い聞かせてみるが、身体は正直だった。
ふと、ご主人様がちらりちらりと時折鏡を見ていることに気付いた。
目があった気がする。
そして一つ気が付いた。


(あ、そっか。
後ろに居てもこれで私の顔が見られるんだ) 


ご主人様は私の顔を見ているのだ。
鏡の中の顔は変わらないのに、もしかしたらご主人様にはきちんと真実が、私が見えているのかもしれない。
だから顔を見るのだろう。


(嬉しいけど、今見られるのは・・・)


胸をいじられて気持ちよさを覚えていることを知られてしまっただろうか。
もしかしたら私、今とてもいやらしい顔をしているのではないだろうか。
私は恥ずかしさで顔を覆ってしまいたくなった。
胸弄りは暫く続き、「おっと、こんなことをしていたら寝る時間になってしまう」という一言で唐突に終わった。

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