story

きっと素敵に違いない

「一応パジャマは買ったけど、さっき着せたばっかりなんだよなー」


私の肩に手を掛けながら、ご主人様が唸る。
パジャマはまだ確認してないけれど、きっと今日の荷物の中に混じっていたのだろう。
雑貨の他にいくつか布製の物があるのが見えたのだ。
ご主人様からパジャマを買ったという言葉が出たとき、私の心は強く波打つように動いた。
自分用の服を買ってもらえただけでもすごく嬉しいのに、ご主人様はパジャマまで用意してくれたのだ。
こんなの、感激しないわけがない。
この服はこの服でとても素敵だし大好きだけれど、せっかくだからパジャマも着てみたい。
どんな色で、どんなデザインなのだろう。
ご主人様が選んだものなら、きっと素敵に違いない。
私は一目そのパジャマを確認したかった。
さっきまでまさかこの服以外にも私の服があるなんて思いもしなかったから、ただ漠然と色々な物があるなくらいしか思っていなくて、きちんと見ていなかったのだ。
もうどんな色の布だったかも、ぼんやりとしている。
淡い色だったような気がするけれど。
ご主人様は荷解きした荷物をまだすぐそこに置いたままなのだが、少しテーブルの下に入ってしまっているようで、ここからは丁度見えないのだ。
あとほんの少し後ろに下がれば、見えそうなのに。


「今から着せ替えるのはちょっとめんどくさいな・・・・
結構眠いしなー」


ご主人様の目は目蓋が重そうで、もう半分くらい黒目に掛かっている。
それだけでも、かなり眠いのだということがわかる。
いつもより遅い時間だから、無理もないかもしれない。
きっと今日はパジャマに着替えることはないだろう。
眠いなら無理をしないで休んでほしい。
きっと、疲れもあるだろうから。
パジャマを着たい気持ちはあるが、でもすごく残念というわけではなかった。
残念といえば残念なのだが、この新しい服をもう少し堪能したい気持ちもあるのだ。
それともうひとつ。
こちらの方が大切なのだが、これまで薄い布1枚で過ごしてきたからかきちんとした服にまだ慣れていないというか、服に着られているというか、縫い目や重なった部分の異物感や、布地が肌に触れる感じや直接肌に空気を感じない不自然さに気持ち悪さに近い違和感があって、それを無くす為に、というか服に慣れる為に、少しでも長い時間この服を着ていたいと思ったのだ。
ずっと着ていたら、きっとあの布みたいに、身体に馴染んで身体の一部のように自然になるだろう。
早くそうなりたい。


「このままでいいか。
今日だけ、今日だけな」


ご主人様は座椅子に乗せられているクッションを手前に引っ張ると、スカートを拡げて正し、背もたれから離して私を座椅子に座り直させた。

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