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これが私の中に入るのね

私のそれに関する知識はおそらく一般的なものだろう。
なんとなくの形や何をするものか、そのくらいは知っている。
私はラブドールなのだからもっと専門的に知っていてもいいのではないかとも思うが、何故かその程度の知識しかないのだ。
だから、興味があった。


(意外と、可愛いのかな)


背中に当たっていた時のような逞しさはなく、しかしそれなりの存在感を残しながら項垂れるご主人様の逸物はどこか愛らしく見える。


(これが私の中に入るのね)


私はいつかの夜の事を思い出す。
今の姿からは想像もできないほどしかしこれが力強く私を押し広げ突き上げたのだ。
なんだか不思議な気分だった。


(こんなに可愛いのにね)


そう思って、私はハッとした。
自分は一体何を言っているのだろうと心の中で首を左右にぶんぶん振る。


(私は一体何を・・・!)


恥ずかしさで顔から火が出そうだった。
ご主人様のそれをまじまじと見るなんてどうかしている、ましてや可愛いと思うなんて。
実際可愛いと思ってしまったのでどうしようもないのだが、しかしご主人様のそれを可愛いと思うのは失礼な事だろう。
ラブドールである私がそんな風に思った事を知ったらご主人様は気を悪くするのではないだろうか。
それになんというか、それは隠しておかなければならない部分でそんな品定めするように見るなんて品がないじゃないか。
私は慌てた。
すごく悪いことを、というか恥ずかしいことをしてしまった気がする。
私は視線を反らす。
と言っても、顔は動かないから視界の多くはご主人様の肌色が占めているのだが。
都合よくご主人様が片膝立ちのような体勢になったため、それは隠れて見えなくなり私はほっとした。


(よかったぁ・・・)


正直言うとほんの少し残念な気持ちはあるが、それは見ないことにした。
ふと触れられ、我に返る。
身を低くしたご主人様が私の足を手に取ったのだ。
まるでガラスの靴を履かせられるシンデレラのような構図で、ご主人様は私の足をふくらはぎから足首まで撫でる。
そしてくるぶしを円を描くようになぞり、足の甲からつま先までを手にした泡で包み込んでいく。
あまり触れられることのないその部位は思いの外敏感で、私は身を震わせた。
特に足の裏はご主人様の指がすーっと通るたびに電流のようなものが背すじを這うようなぞわぞわした感覚が全身を襲う。
この感じは少し、胸を触られる時に感じる感覚に似ている。
だが、似て非なるものだった。


(ひあっ、ん・・・
ふっ・・・ひぃ・・・)


喘ぎ声とは違う、変な声が出てしまう。
まるで感じてしまっているようで恥ずかしくて、私は必死に我慢した。
浸る様な甘美なものではなく強制的に身体を反応させられている感じで、両足が終わる頃には私の神経はすっかり昂ってしまっていた。

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