story

目を反らした

その日の晩、私はご主人様のベッドには連れて行ってもらえなかった。


「新しい子だからってゆうみばかり贔屓したらややが拗ねるからな」


と言って、ご主人様は私を昨日連れて行った部屋の隣、昨晩ややが過ごした部屋へと連れてきたのだ。
私は少し寂しいような残念なような気がしたけれど、でも仕方ないかな、と思った。
ご主人様は私だけのご主人様ではない。
私とやや、二人のご主人様なのだから。


「ここがゆうみとややの部屋だよ」


私を抱きかかえたご主人様は部屋の壁に設置されたスイッチを押して明かりを付けた。
部屋の中が光に照らされ、鮮明になる。
昨日は中を観ることがなかったその部屋はとてもすっきりとした印象だった。
いくつかの収納と一人用の白い布張りのソファ、部屋の中にはそれだけしかない。
綺麗に片付けられているのだが、そのせいなのか、または白色の蛍光灯で照らされているからかどこか寒々しくもある。
一番過ごす時間が長いリビングも昨晩ご主人様と体を重ねた寝室も同じように綺麗に整頓されているがどこか温かみがあった。
それに比べてここは生活感のないどこか寂しげな部屋だった。


「変なもの着せるよりその布の方がいいか。
せっかく綺麗な身体してるのに痕とか付いても嫌だしなぁ」


ご主人様は私を抱えたまま、片膝をついて部屋に入ってすぐのプラスチックのチェストを覗いて呟いた。
中には色とりどりの服が入っている。ややの服だろうか。
3段になっているそのチェストの今まで見ていた真ん中の段を閉め、ご主人様は上の段を開ける。
そこには先ほど開けていた段に比べて淡い色の布地が多く収納されていた。


「さすがにブラジャーはややの着けているやつじゃ合わないから無理として、
パンツだけでも・・・うーん、でもやっぱり跡が付くしなぁ。
できれば履かせておきたいんだけど買ったばっかりのドールだしなぁ」


中から引っ張り出した面積の小さな白い布と私を交互に見る。


「だめだ、やっぱり下着はいるよ。
絶対いる、うん」


数回頷いて、ご主人様は私を床に降ろすと私の身体の薄い布を手早く解いた。
私は冷たい空気の中で無防備な私の足首を軽く掴み、ご主人様は手に持っていた布を私の足にゆっくりと通した。
一見小さそうに見えたその布は伸縮性があり、私の臀部に添うように伸びて形を変え、まるでその部分を守る様にぴったりと包む。
腰のやや下まで布を上げるとご主人様は小さくよしっと言った。


「やっぱりパンツは必要だよな、そのままなのはちょっとな」


(ちょっと違和感があるけど必要なものなんだ。
でもえっちする時はどうせ取るんだからなくてもいいんじゃない、かな?)


ご主人様を見ながら私は何気なくそんなことを思ったが、思った瞬間なんだか恥ずかしくなってご主人様から目を反らした。

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