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セクハラやで

ご主人様は続けて靴下やピアスなどの小物を服の横に並べ、一式が揃ったところで荷物を解く手を止めた。
それから恭しくゆっくりとした動作で繊細なレースの装飾が施された白い塊を宙で広げる。
お椀型の大きくてしっかりとした布地から細かなフリルが両端にあしらわれた細いストラップが伸びたそれは、ブラジャーだった。


「ややのよりだいぶでかいな」


肩紐を摘んで持ち上げながら、ご主人様はぽかんと口を開けた。


「なんやてー!
って、ほんとに大きい・・・」


いつも胸の事になるとムキになるややだが、さすがの彼女も口を開けて黙ってしまう。
それもそのはず、そのブラジャーは片方のカップ部分だけでご主人様の顔を半分ほど包んでしまうほどの大きさだったのだ。
それには私もさすがに口が開いた。


「これはさすがに大きすぎるんじゃない・・・?」


自分の胸が大きいことはわかっていたが、こんなに大きいだろうか。
私はちらりと自分の胸に目をやった。
布に包まれているから見た感じはあのブラジャーよりも慎ましく見える。
というか、ただの布を引っ掛けているだけでもきちんと形を保っているのに、補正下着であるブラジャーを付ける必要があるのか疑問だ。
見た感じ、そのブラジャーは野暮ったくどうにも気が乗らない感じなのだ。
それについてはご主人様も同じのようで、思っていたのと違うと言うような渋い顔でテーブルに置いた。


「うーん、なんだかネットで見たのと違うなぁ。
こんなにがっしりしてたかな。
まぁ、着せてみたら印象が変わるかもしれないしな・・・」


唸りながらご主人様はブラジャーとお揃いの白くて薄い布を取り出しブラジャーの下に並べた。


「パンツもえらいしっかりしてるな!」


もう諦めたのか、それとも呆れたのか、ご主人様は並べた布地を見て笑った。
確かにご主人様の言うように、寝室で見たものよりも随分布面積があるようだ。


「これは、どうかなぁ・・・ネットで見たのと全然違うし、返品かな。
いやでも、逆にこういうリアルな感じがいいかもしれない?」


ご主人様は唸りながら私を見る。
どうやら頭の中で私にその下着を着せているらしい。
まじまじと見られ、私はなんだか恥ずかしくて目を反らした。


「うわああ、ご主人様セクハラやで・・・!」


机の向こうでややが抗議する。
彼女にもご主人様の想像していることがなんとなくわかったらしい。
ご主人様はいつものことと敢えて聞き流しているのかお構いなしといった様子だった。


「よし、これはこれでありってことにしよう」


ややの抗議が激しくなる前に結論が出たようだ。
ご主人様はテーブルに置かれたブラジャーを手に取り起ち上ると私の横に立ち、私の肩を掴んで自分と向かい合わせた。


「さあ、着替えようか」

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