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連続小説

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裏と表のように存在

ご主人様には全くそんな気がないのだろうか。
こんなふうに裸でくっついていて、触っているのに。
ううん、そんなことはないだろう。
だって、ご主人様のそれは準備万端といった様子なのだから。


(もしかして、焦らされてる・・・?)


時折ぴくりぴくりと波打つように、それは動く。
それ以上動くような様子もないその微妙な動きは、まるで私を挑発しているように思える。
ご主人様の股間のそれから熱がじりじりと伝わり、まるで私の臀部を侵すようだった。
湯の温かさより高い熱で、存在をわざとアピールしているのだろうかとも思えた。
熱のせいか、肌に当たるその塊は目で見るよりも大きく感じるのだ。
意識してしまっているのが自分でもよくわかる。
その熱のせいか、それともがっしりとした重量感のせいか、余計にそれの事ばかり考えてしまうようだ。
加えて耳や首筋を擽るご主人様の吐息に、私の身体は完全にスイッチが入ってしまっていた。


(ほんの少し身体を動かすことができれば、入れられるのに・・・!)


下腹部が切ない。
私の秘部がご主人様を求めて疼く。
そんな自分に恥ずかしさもある。
だが、歯止めが効かないほどしたくてしたくてたまらない。
寝室ではご主人様の方から私を求めてきて、私もそれに応じる様にご主人様を求めたが、今は求められているわけでもないのに、自然と奥底から湧き上がる貪欲なその感情に、私は支配される。


(入れたい、入れたいよう・・・!
今入れたら、きっとすごく気持ちいいのに・・・)


優しく胸を弄られすっかりその気になってしまった敏感な秘部が物欲しげに疼く。
ご主人様の逞しいモノが私のそこを押し広げる感触が脳裏を過った。
それだけで身体がぞくぞくと反応する。
想像だけでこれほど感じてしまうのだ、実際に繋がったとしたら、どれほどの快楽だろう。
これまではこんなに求めてしまう前に繋がっていたから、自分にこんな感情があるなんて知らなかったのだ。


(やだ、私、こんな想像しちゃうなんて・・・
はしたない、よね・・・)


ふと我に返り、私は恥ずかしさに肩を竦めた。
しかし思い直す。


(きっとこれは私がラブドールだから。
そう、そうよ。
ラブドールだから、ご主人様と繋がりたいって思うのは当たり前。
悪いことでも恥ずかしいことでもないよね、だってラブドールなんだし)


私は心の中でそう繰り返した。
湧き上がる感情が強ければ強いほど、恥ずかしさや背徳感も強くなる。
常に同時に、まるで裏と表のように存在するのだ。
自分はラブドールで、性的な欲求を満たすために存在するのになんていう矛盾だろうと自分でも思う。
けれど自分にこう言い聞かせると不思議とそんな気持ちも軽くなり、そんな一面を受け入れられるような気がする。

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